うろ覚えで語るゲーム Vol.2 「フォーメーションZ」〜スカイハーイ!して墜落しても見る価値のある世界〜


※ほぼ記憶だけに頼って書いてるので、何らかの思い違いがあるかも知れません※


CDとかに「ジャケ買い」ってあるじゃない。自分基本あまりCD買わないしある程度知ってて気に入ってるアーティストしか買わないからしないけど、ワインだけは「ジャケ買い」(というか「ラベル買い」か?)してしまう。何となくデザイン的にかっこいいなぁかわいいなぁとか思ってしまうとついつい買ってしまう。ワインの味は今でもよくわからないんだけどね。


というわけで、とかく人というのはよく分からない、よく知らないものに関しては見た目で選んでしまう傾向がある。そんな自分の初めての「ジャケ買い」となるのが、今回触れる「フォーメーションZ」というゲーム。当時幼稚園児だった自分が初めて自分の意志で買ったゲームだったりする。正直自分でお金を出したか親に買ってもらったか覚えてないけれど、お正月の時期に買ったことをうっすら覚えてるんで、多分お年玉で買ったんじゃないかなぁと思う。

ジャケ買いした理由は、パッケージに「変形するロボット」が描かれてたから。それだけ。幼稚園児・派手なもの好き・ロボット好き(当時は自分が人間じゃなくロボットの子供なんだ、と思ってたくらい!)、変形好き。なら買うしかないでしょ! という勢い。特に「変形」というのがツボだったわけですよ! そういやマクロスとかオーガスなんてのもありましたな。ストーリーはからっきし覚えてないが「飛行機が変形しておボットになる(あとついでに戦艦も)」のがすごく好きだったことだけは覚えてる。


で、そのフォーメーションZというゲームがどんなゲームだったかというと…

  • 横スクロールシューティング
  • 左右で前後移動、上下はロボット時の射角変更、戦闘機時の上下移動+射角変更。
  • 射撃ボタンを押してすぐ離すと普通の射撃、押しっぱなしで「ビッグバン」とかいう威力の高い貫通弾を発射
  • ジャンプボタンでジャンプ、ジャンプボタン押しっぱなしで変形
  • ロボットの時は地上を歩行。変形すると飛行可能だがエネルギーを消費する。
    • 飛行時エネルギーが空になると高度を維持できなくなり警告音とともに降下する。地上にあるエネルギータンクを取るとエネルギーが回復する
  • ステージは陸上面と海上面を繰り返す。終盤は体験を脱出し地上面と宇宙面といった構成に
  • 二度めの海上面と最終面にボスあり
  • たしか周回制
  • BGMがタイトル画面にしかない

という感じ。
どうだったかといえば、そりゃ撃沈ですよ(悪い意味で)。まずゲーム的に派手さに欠けるのが当時の自分としては致命的。BGMがなく「チチチッ…ドブゥーン、ドブゥーン」(ショットとビッグバンの音)とか「ガイーン」(ジャンプ音)とか「ビーウビーウ」(敵弾)とか「ポーゥポーゥポーゥポーゥ…」(エネルギータンクを取った音)といった効果音がまばらに聞こえてくるだけ、背景もくすんだ色合いの山と荒野と草(海上ステージを挟んで砂漠になる)で、自機も敵も思いの外小さく、後述するゲーム自体のみみっちさとあわせて恐ろしく地味な印象しか与えてくれない。

ゲーム自体も当然というか、幼稚園児が興奮するような「マクロスみたいにロボ←→戦闘機の変形を繰り返してバリバリ敵を倒す」なんてところから3.14Kmくらいかけ離れたところにある。前述の通り変形して飛び始めるとエネルギーを消費するんだが、その消費が思いの外速く、変形して空へスカイハーイ! なんて幼稚園児が全能感ゆえにすぐやってしまうような無茶なプレイをするとあっというまに「ポーポーポーポーポーポー…」というエネルギー切れ警告音が鳴り始めて、機体は機首を下げて降下し、地面なり海面なりに叩きつけられる*1。変形してちょっと飛んで補給できそうなところで変形解除して、補給したらまた飛ぶとか、地上ステージはとにかく地上をずっと歩くなんてプレイが恐らく正解なんだろうし、幼稚園児の頭でもそれくらいはわかるっちゃ分かるんだが、やっぱり変形せずにはおられないんですね。これが。ちなみに変形自体もそんなハデなわけではなく、何の効果音なくスルスルッと変形してしまうんで物足りなかったといえばそうかも、というところ。


そういう「死亡前提の現実逃避プレイ」を思わずやりたくなってしまうのにはもう一つ訳がある、というのもこのゲーム、けっこう難しかったりする。
自機の射角が水平、上斜め、下斜めの三つのみに限られてて、真上とか真後ろに弾を撃てない。しかも自機の左右の移動が結構遅い。すなわち、敵を撃つのも敵を避けるのもそれほど簡単でない。射角と同じ角度で突っ込んでくる敵なら対応は出来るが、それ以外に自機の真上から垂直にゆっくり落ちてくる敵なんてのが確かいたのでそういう敵に出くわすと難儀する。そして中型の敵が出てくるんだがその敵も動きが速く、自機の限られた射角とトロい移動速度だとかなり狙い撃ちにくい。他にも地上から浮上してくる敵やら、地上に横たわってて挙げ句の果てにビッグバンでないと倒せない戦車なんてのがいて、これも下への射角が常に一定にしかならないので若干撃ちにくい感じになっている。

というところを考えると、不条理な難易度ではないけれど、ある程度の戦略性とかがないとクリア出来ない、つまりバンゲリングベイと同じく幼稚園児には早すぎるゲームだったんじゃないかなぁと思ったり思わなかったり。多分今やると、地味という印象は絶対に拭えないだろうけどもっとまともに遊べるか楽しめるんじゃないだろうか。


そんな感じなんで、やっぱり自分の中でもそれほどいい印象のゲームではないんだけれど、やっぱり当時は(まだこのカセット含めて)ファミカセが4〜5本くらいしかなかったから、ヒマな時にはけっこう遊んでたゲームではあった。「いきなり変形してスカイハーイ!→墜落」とか、「変形して地面ギリギリを飛んで、エネルギータンクを取りつつ戦車にぶつからないようにビッグバン出しっぱ→でもなんだかんだで戦車にぶつかって死亡」とか、「変形解除して海の上でジャンプすると死なない裏技でどこまでいけるか試そうとして死亡」とか、そういう「どうやっても死にしか繋がらないプレイ」は数え切れないくらいやった。もちろんまともにプレイしてクリア出来るか試してみたこともあったよ。大抵二度目の海上面のボス(結構小っちゃい上にビッグバンでないと倒せない)でやられたり、宇宙のラスボス(海上面ならぬ空中面)でエネルギー切れ起こして宇宙の藻屑と消えたりとかで多分一度もクリア出来てないんじゃない気もするけど。いやクリア一度かしてたっけか。どっちだったっけか。忘れた。


それに地味なゲームではあるけれど、ちゃんと描写される世界に奥行きがあるように見せる演出があったりして、ときおり見せるそういう側面に自分は萌えてたんじゃないかと思う。
まず今でも萌えるのが、最初の地上面を進んでいくとだんだん背景の山が低くなっていって、ついには山の向こうに海が見え始めるというところ。多分今の自分だったら海が見えたら「やったーッ!海だーッ! ジャカジャン!(ここから先は1/6の夢旅人のメロディで歌う)」とか言ってはしゃぐんじゃないだろうか。あと地上面から海上面へ移る瞬間にちょっとだけ見える岸壁?にも大いに萌える。全然書き込みが細かい訳じゃないんだけど、当時あまりゲームを知らない自分としてはかなりくすぐられるところだったなぁ、そういうところ。
そして戦闘機に変形して一番上まで上昇すると雲が見えるというのもすごくいい。変形した時の地上のスクロールスピードと上空の雲のスクロールスピードが違うというのも心憎い。あとは海上面のボスを倒した後の大気圏脱出も、ささやかではあるけれど結構燃えるところ。「ガイイイイイイイイイイイイイン!」って言いながら機体が急角度で上昇してくのね!


フォーメーションZも、自分にとってはバンゲリングベイと並んで「ブラウン管の中の、もう一つのプレイグラウンド」だった…というよりは、今から見るとこのフォーメーションZでその後の「世界観萌え」な方向性が定まってしまったんじゃないかと思ってしまうわけで。


最後に余談。
WikipediaにフォーメーションZのビッグバン(射撃ボタン押しっぱ)を「ため撃ちの元祖」って書いてあるけど、少なくともスーファミのビッグバンは「射撃ボタンを押して、離すと発射する」というR-TYPEみたいなんじゃなくて、「射撃ボタンを押したままにしてると通常射撃から(発射間隔の遅い)ビッグバンに切り替わる」といった感じなんで、敢えていうなら首領蜂/怒首領蜂のレーザーの元祖なんじゃないかと思う。もっともフォーメーションZのビッグバンは打ち続けても移動速度は遅くならないけれども。

*1:地面であれば変形を解除するとまた歩き出せるが、大抵そんなプレイをしてるとエネルギー補給が出来ないままに海上ステージに突入して死ぬること確実